さよならウニさん

ちあわせ。。

 昨日で安静解除だったので、だんなさまにお願いして創作料理屋さんに連れて行ってもらいました。久しぶりの外食でウキウキ。メニューをみて真っ先に飛び込んできたのは「かんぱちのウニのせカルパッチョ」。なんて素敵な名前なんだろう。ウニってなかなか食べれないけど今日はいいよねって勝手に解釈して、だんなさまに笑顔でおねだりしました。運ばれてきたウニさんはピカピカ光っていて、食べるのがもったいないくらいきれいに器にもられていたけど、見とれることもなくがっつきました。おいしい。超おいしい。ウニさんに顔を突っ込みたいくらいおいしい。そもそも私がウニさんに出会ったのはつい最近です。看護師として働いていたときに、夜勤頑張ってねとドクターからお寿司をもらいました。廻っているお寿司しか食べたことのない私は、ウニの存在は知っていたけど、ウニの値段で他のものがたくさん食べれるぞと思っていたので縁遠いものでした。朝の4時。夜勤の間の一休み。どきどきしながらお寿司の箱をあけるとセンターに黄色く輝くウニさんがいました。すごい。ウニだ。本当に食べてもいいの?と思いながら口に入れたら、きゃー、甘い。おいしい。それが私のウニデビューです。ウニを与えてくれたドクターにはもちろん、仕事を退職するまでしっかりと、他のドクターよりも優しく接しました。
 そして昨日、15切れくらいあるかんぱちの上にはウニさんがふんだんにいました。だんなさまとの話もそっちのけ、五分の四は食べたと思います。だんなさまは2切れくらいしか食べていないことに気づき、最後の1切れは食べさせてあげようと箸をおきました。でも、その最後の1切れをものすごく凝視してたみたいで、怖かったのか、不憫に思ったのか、食べさせてくれました。あー、幸せ幸せ。今日はいい夢がみれるかなとお布団に入りました。
 「痛いっ」朝の4時にお腹に激痛が走りました。吐くほど痛い。だんなさまをたたき起こし、産まれるかもーって叫びながら痛みに耐え、腰をさすってもらいました。眠たい目をこすりながら、頑張れと励ましてくれるだんなさま。ああ、もう産まれるのね。ママになるのね。うわあー、なんか出るー、ん?出るは出るでもこれは赤ちゃんではないっ。そういえば、経験したことのある痛みだ。っていうことは?一生懸命腰をさすってくれているだんなさまを突き飛ばし、トイレにかけこみました。
 はあー、死ぬかと思った。庶民的な私の腸にはウニの許容量を超えていたようです。しかしなんてもったいない。このもったいなさを伝えなければとお布団に戻ったら、何て人騒がせなんだという顔をしながらだんなさまは眠っていました。
 私の血や肉とならずにウニさんとはさよならだったけど、私を苦しめたウニさんだったけど、やっぱりまた食べたい。セレブな腸に鍛えなければと決心した懲りない私なのでした。